相続した不動産が未登記だった場合、売却や相続手続きがスムーズに進まないことがあります。
未登記のまま放置すると、名義人不明の不動産となり、将来的にトラブルの原因にもなりかねません。
本記事では、未登記不動産の相続手続きの流れと、リスクを回避するための具体的な対策を解説します。
1. 未登記の不動産とは?
① 未登記不動産とは?
未登記不動産とは、法務局に所有者としての登記がされていない不動産を指します。
例えば、次のようなケースが考えられます。
- 親が家を建てたが、登記をしていなかった
- 増改築を行ったが、変更登記をしていない
- 代々引き継がれてきた土地が登記されていない
② 未登記不動産を相続すると何が問題か?
未登記不動産を相続すると、以下のようなリスクが発生します。
- 売却や担保設定ができない
- 固定資産税の請求が前所有者の名義で続く
- 相続人同士で権利関係が複雑になり、トラブルが発生
- 第三者に勝手に利用される可能性がある
こうしたリスクを避けるために、早めに登記を済ませることが重要です。
2. 未登記不動産を相続した際の対応方法
① まずは所有権を確認する
未登記不動産の所有権を確認するために、以下の書類を調べましょう。
- 固定資産税の納税通知書
- 親の遺言書(ある場合)
- 建築確認申請書・工事契約書
- 相続人の戸籍謄本
所有権が不明確な場合、役所や法務局に相談することも検討しましょう。
② 建物の登記を申請する
未登記の建物を相続する場合、建物表題登記を行う必要があります。
手続きの流れは次のとおりです。
- 土地・建物の所在を確認
- 建物の種類や構造を調査(固定資産税課の情報も確認)
- 必要書類を準備(固定資産税評価証明書・住民票・相続関係書類など)
- 法務局で登記申請
ポイント: 建物表題登記は土地家屋調査士に依頼するとスムーズです。
③ 所有権移転登記を行う
建物の登記が完了したら、次に所有権移転登記を行います。
手続きの流れは以下のとおりです。
- 相続人全員で遺産分割協議を行う
- 遺産分割協議書を作成し、署名・押印
- 相続登記の申請(司法書士に依頼も可能)
- 法務局で登記完了
④ 未登記土地の場合は法務局に相談
未登記の土地を相続した場合、まずは法務局や市町村役場で情報を確認しましょう。
次のような対応が必要になる場合があります。
- 地籍調査を行い、土地の境界を明確にする
- 固定資産税の記録をもとに所有者を特定する
- 法務局で過去の登記情報を調査する
特に、相続人が多い場合は権利関係が複雑になるため、弁護士や司法書士に相談するのがよいでしょう。
3. 未登記不動産のリスク回避策
① 早めに登記を完了させる
未登記の不動産は、放置すると問題が発生しやすくなります。
相続したら速やかに登記を行うことで、将来のトラブルを回避できます。
② 兄弟間でしっかり話し合いを行う
相続人が複数いる場合、遺産分割協議を進めないと共有名義のまま放置され、管理が難しくなります。
早めに兄弟間での話し合いを行い、登記手続きを進めましょう。
③ 相続登記を司法書士に依頼する
相続登記の手続きを自分で行うことも可能ですが、専門的な知識が必要になることが多いため、司法書士に依頼するとスムーズに進められます。
④ 固定資産税を適切に支払う
未登記の不動産でも、固定資産税の納税義務は発生します。
納税を怠ると差し押さえのリスクがあるため、必ず支払いを継続しましょう。
4. まとめ
未登記の不動産を相続した場合、所有権の確認・登記手続きを速やかに進めることが重要です。
- 建物が未登記の場合:建物表題登記 → 所有権移転登記を行う
- 土地が未登記の場合:法務局や市町村役場で情報を確認し、登記手続きを進める
- 登記を放置するとリスクが増大(売却できない・相続人が増える・管理が困難)
- 司法書士や土地家屋調査士に依頼するとスムーズ
未登記不動産は、手続きを後回しにせず、早めの対応が大切です。
本記事を参考に、適切な対応を進めましょう。