家を売却すると、売却益(譲渡所得)に対して税金が発生します。
「税金がどれくらいかかるのか?」「節税する方法はあるのか?」と疑問に思う人も多いでしょう。
本記事では、不動産売却時にかかる税金の計算方法や、節税のための特例を詳しく解説します。
1. 不動産売却でかかる税金の種類
家を売却した際に発生する主な税金は以下の3つです。
- ① 譲渡所得税(所得税・住民税)
- ② 印紙税(契約書に必要)
- ③ 住民税(譲渡所得に対する課税)
このうち最も負担が大きいのが譲渡所得税です。
売却益が出た場合、所得税と住民税が課税されるため、事前に計算しておくことが重要です。
2. 譲渡所得税の計算方法
① 譲渡所得の計算
譲渡所得は、次の計算式で求めます。
譲渡所得 = 売却価格 -(取得費 + 譲渡費用)
それぞれの項目の詳細は以下のとおりです。
- 売却価格:不動産を売却した金額
- 取得費:購入時の価格 + 購入時の諸費用(登記費用・仲介手数料など)
- 譲渡費用:売却時の費用(仲介手数料・測量費・解体費用など)
② 税率の計算
不動産の所有期間に応じて、税率が変わります。
所有期間 | 所得税 | 住民税 | 合計税率 |
---|---|---|---|
5年以下(短期譲渡所得) | 30.63% | 9% | 39.63% |
5年以上(長期譲渡所得) | 15.315% | 5% | 20.315% |
つまり、5年を超えて所有している不動産を売却すると税率が半分になるため、売却のタイミングも重要になります。
3. 節税できる特例と控除
① 3,000万円の特別控除
自宅を売却する場合、最大3,000万円の譲渡所得控除が適用されます。
これにより、多くのケースで税金がかからなくなる可能性があります。
- 売却益が3,000万円以下なら税金がゼロ
- 売却した年の1月1日時点で、居住用として使用していることが条件
- 過去2年間、同じ特例を使っていないこと
② 10年超所有の軽減税率
売却した不動産を10年以上所有している場合、税率が軽減されます。
所得額 | 所得税 | 住民税 | 合計税率 |
---|---|---|---|
6,000万円以下の部分 | 10.21% | 4% | 14.21% |
6,000万円超の部分 | 15.315% | 5% | 20.315% |
長期間所有した不動産を売却する場合、税金がさらに軽減されるため、売却時期を検討するのも有効な節税対策です。
③ 買い替え特例
売却した家を買い替える場合、売却益への課税を繰り延べる特例があります。
要件を満たせば、譲渡所得税の支払いを将来に先延ばしできます。
- 売却した不動産の価格よりも高い家を購入すること
- 買い替え先の住宅を一定期間内に取得すること
4. 不動産売却時の税金を抑えるコツ
① 売却時期を調整する
5年以上所有してから売却すると税率が大幅に下がります。
また、3,000万円控除を適用できるかどうかも確認しましょう。
② 不動産会社に正確な査定を依頼する
不動産の売却価格を適切に設定し、最大限の利益を確保することが重要です。
複数の不動産会社に査定を依頼し、適正な売却価格を把握しましょう。
③ 必要経費を漏れなく計上する
譲渡費用(仲介手数料・測量費・解体費用など)をしっかり計上することで、課税対象の譲渡所得を減らすことができます。
④ 税理士に相談する
税金の計算や控除の適用については、税理士に相談すると確実です。
特に、相続した不動産を売却する場合、相続税との関係も考慮する必要があります。
5. まとめ
家を売却すると、売却益(譲渡所得)に対して税金が発生します。
しかし、3,000万円の特別控除や10年超所有の軽減税率などを活用すれば、税負担を大幅に軽減できます。
- 所有期間5年以上で税率が下がる
- 3,000万円控除を活用すると非課税になる場合も
- 買い替え特例で税金の支払いを繰り延べることが可能
- 売却費用を計上することで税金を抑える
不動産売却を検討している方は、本記事を参考に最適なタイミングで売却し、税負担を最小限に抑えましょう。