親が亡くなり兄弟で不動産を相続した場合、売却するのか、共有するのか、分割するのかを決めなければなりません。
しかし、遺産分割協議がうまくまとまらず、トラブルに発展するケースも少なくありません。
本記事では、兄弟間で不動産を相続した際の売却・分割の選択肢を解説し、スムーズに手続きを進めるためのトラブル回避法を紹介します。
1. 兄弟で不動産を相続した際の選択肢
① 共有名義のまま維持する
兄弟で不動産を共有名義にすると、それぞれが法的な持ち分を持つ形になります。
ただし、以下のようなデメリットがあるため注意が必要です。
- 売却時に全員の同意が必要
- 修繕や維持費の負担をどう分担するか問題が生じやすい
- 将来的に相続人が増え、共有者が複雑化する
結論: 兄弟の関係が良好で、特に活用計画が決まっていない場合は一時的な選択肢として考えるのはありですが、長期的には問題が発生しやすいため早めの対策が必要です。
② 兄弟のうち1人が単独で相続する(代償分割)
兄弟のうち1人が不動産を相続し、他の兄弟には現金で代償金を支払う方法です。
この方法を選ぶ場合、代償金をどのように算出するかがポイントになります。
- 不動産の時価評価を基に、持ち分に応じた金額を計算
- 相続した兄弟がローンを組んで代償金を支払う方法もあり
- 代償金を支払えない場合は売却を検討
結論: 兄弟のうち1人が不動産を活用する意思がある場合におすすめの方法です。
ただし、代償金の支払い能力を確認し、公平な評価額で合意を得ることが重要です。
③ 不動産を売却して現金で分ける(換価分割)
兄弟間で不動産の共有を避けたい場合、売却して現金を分配するのが最もシンプルな方法です。
- 売却価格から仲介手数料や税金を差し引いた金額を兄弟で分割
- 全員が合意すればスムーズに進む
- 売却価格で意見が割れる可能性がある
結論: 共有名義によるトラブルを避けるため、売却して現金化するのが最も合理的な方法です。
ただし、市場価格や売却タイミングを考慮しながら進める必要があります。
④ 共有持ち分を兄弟の1人が買い取る
売却せずに、兄弟の1人が他の兄弟の持ち分を買い取ることで単独所有にする方法です。
- 売却せずに済むため、相続税対策にもなる
- 買取価格の決定がポイント(時価・固定資産税評価額など)
- 資金が不足する場合は、ローンを利用することも可能
結論: 兄弟のうち1人が不動産を所有し続けたい場合に有効な方法ですが、公平な価格設定が必要です。
2. 兄弟間のトラブルを避けるためのポイント
① 早めに話し合いを始める
相続発生後に放置すると、トラブルが発生しやすくなるため、早めに兄弟間で話し合いを始めましょう。
特に、以下の点について合意を取ることが大切です。
- 不動産を売却するか、共有するか
- 売却価格の基準(査定を依頼するか)
- 誰が管理費用を負担するのか
② 不動産の適正な価格を把握する
売却や買取を検討する場合、不動産の時価を把握することが重要です。
複数の不動産会社に査定を依頼し、公正な価格を確認しましょう。
③ 弁護士や専門家を活用する
兄弟間で意見がまとまらない場合は、弁護士や不動産コンサルタントに相談するのも有効です。
特に、以下のようなケースでは専門家の介入が推奨されます。
- 遺産分割協議がまとまらない
- 一部の兄弟が売却に反対している
- 相続税や登記手続きが複雑
④ 相続登記を早めに行う
2024年4月から相続登記が義務化され、3年以内に登記を行わないと10万円以下の過料が科される可能性があります。
相続した不動産は、早めに登記を済ませ、売却や管理の手続きを進めましょう。
3. まとめ
兄弟で不動産を相続した場合、売却・共有・分割など、複数の選択肢があります。
- 売却して現金を分割するのが最も合理的
- 共有名義は長期的なリスクがあるため注意
- 代償分割や買取も選択肢の一つ
- 早めの話し合いと、専門家の活用が重要
兄弟間でのトラブルを避けるために、本記事を参考に最適な相続の方法を検討してください。