夫婦が共同で購入した家は「共有名義」となっているケースが多く、売却時には通常の売却よりも手続きが複雑になる傾向があります。共有名義はメリットもありますが、いざ手放す段階になると意思確認・持分割合・住宅ローン・税金など、多くのトラブルが発生する可能性があります。特に、離婚や生活状況の変化を理由に売却する際は、冷静な判断と正確な知識が欠かせません。本記事では、夫婦共有名義の家を売る際に起こりやすいリスクと、その対応策をわかりやすく紹介します。
1. リスク① 共有者全員の同意が必要で、意見が合わないと売れない
共有名義の最大の特徴は「共有者全員の同意がないと売却できない」という点です。夫婦の価値観が異なったり、タイミングが合わなかったりすると売却が難航します。意思不一致が長引くと、売却価格の下落や住宅ローン負担の継続につながることもあります。
【対応策】早めに意見交換を行い、理由や希望を明確に共有しましょう。第三者である不動産会社やファイナンシャルプランナーが間に入ると、客観的な判断ができ話し合いがスムーズになります。
2. リスク② 持分割合に応じて利益の分配トラブルが発生しやすい
共有名義では、登記簿に記載されている持分割合に基づき、売却益を分配するのが基本です。しかし、頭金の負担割合・住宅ローンの返済割合など、実態と持分が異なるケースでは「どちらがいくら受け取るべきか」で揉めることがあります。
【対応策】売却前に持分割合・実際の負担記録を確認し、必要に応じて離婚協議書や公正証書など書面で取り決めることが重要です。
3. リスク③ 住宅ローンがあると手続きが複雑になる
住宅ローンが残っている共有名義の場合、売却代金で残債を完済しない限り、抵当権が解除されず家を売却することができません。さらに、片方が連帯保証人や連帯債務者になっている場合は、売却後も責任が残ってしまう可能性があります。
【対応策】金融機関へ早期に相談し、売却の可否・残債処理の方法(完済・任意売却など)を確認しましょう。また、売却後は必ず連帯保証から外れる手続きを行うことが重要です。
4. リスク④ 税金負担が思ったより大きくなるケースがある
共有名義の場合、売却益が出た場合はそれぞれに譲渡所得税が課せられます。持分割合に応じて課税されるため、片方だけ税金が重くなることもあります。また、3,000万円特別控除などの特例が適用できるかどうかも共有者全員で条件を満たす必要があります。
【対応策】売却前に税理士または不動産会社に相談し、税負担や特例の適用可否を確認しておきましょう。
5. リスク⑤ 売却活動の連絡・調整が負担になる
共有名義だと、不動産会社との連絡・書類手続き・内覧の日程調整などを共有者全員で進める必要があり、時間的・精神的負担が増えます。特に離婚後は連絡を取りたくないケースも多く、ストレスの原因になりがちです。
【対応策】不動産会社を窓口に一本化し、代理人として調整してもらうことで負担を減らすことができます。また、連絡手段や役割分担を事前に決めておくのが効果的です。
6. リスク⑥ 売却後の清算でトラブルが発生しやすい
売却後は売却代金の分配、費用負担(仲介手数料・抵当権抹消費用・司法書士費用など)の精算が必要です。事前に合意していないと、「こんなに差し引かれるとは思わなかった」「負担割合に納得できない」というトラブルが起こりやすくなります。
【対応策】売却前に費用項目と負担割合を一覧化し、書面で共有者全員が合意しておくことが重要です。
7. まとめ:共有名義の売却は準備と合意形成が鍵
夫婦共有名義の家を売却する際は、意見の対立・税金・名義・ローンなど、通常の売却より複雑な要素が多くなります。しかし、「事前に確認する」「書面で取り決める」「第三者の力を借りる」という3つを徹底することで、多くのリスクは回避できます。共有名義だからこそ、冷静に準備を進めることがスムーズな売却につながります。安心して取引を進めるためにも、早めの相談と計画的な対応を心がけましょう。
