夫婦で不動産を共有することは珍しくありませんが、財産分与や相続、ローン負担など、将来的なリスクを伴います。
特に、離婚や相続の場面では不動産の持分やローンの扱いが問題になることが多いため、事前に防止策を講じることが重要です。
本記事では、夫婦間で不動産を共有する際のリスクと防止策を詳しく解説します。
1. 夫婦間で不動産を共有する方法
夫婦で不動産を共有する場合、主に以下の2つの方法があります。
- 共有名義:夫婦それぞれが所有権を持つ(例:持分50%ずつ)
- 単独名義:夫または妻のどちらかが単独で所有する
共有名義にすることで、夫婦の公平性を確保できますが、離婚や相続時にトラブルの原因となることがあります。
2. 夫婦間で不動産を共有するリスク
① 離婚時の財産分与が複雑になる
夫婦共有の不動産は、離婚時に財産分与の対象となります。
持分割合によって、以下のような問題が発生する可能性があります。
- 持分が50%ずつの場合:売却して現金を分ける or 一方が買い取る
- 持分割合が偏っている場合:貢献度の違いによる争いが起こる
- 住宅ローンが残っている場合:名義変更が困難になる
特に、住宅ローンを共有している場合、片方が支払いを滞納すると連帯責任が発生するため注意が必要です。
② 住宅ローンの支払い義務が複雑
夫婦共有名義で住宅ローンを組んだ場合、どちらがどれだけ支払うのかが問題になります。
さらに、離婚時には以下のようなリスクが生じます。
- どちらかがローンを支払えなくなると、もう一方に負担がかかる
- 共有名義のままだと、金融機関の許可がなければローンの名義変更ができない
- 売却してもローン残債が残ると、分配が難しくなる
③ 相続時に争いが発生する
夫婦のどちらかが先に亡くなった場合、その持分は相続財産となります。
このとき、以下のような相続トラブルが発生する可能性があります。
- 亡くなった配偶者の持分をめぐり、相続人(子ども・親族)が関与する
- 相続税の負担が発生し、持分の売却が必要になる
- 相続人が複数いると、不動産をどう分割するかで対立が起こる
④ 共有不動産の売却が難しくなる
共有名義の不動産を売却するには、全員の同意が必要です。
一方が売却を希望しても、もう一方が拒否すれば売却できないため、資産の流動性が低くなるリスクがあります。
3. 夫婦間の不動産共有リスクを防ぐ方法
① 事前に持分割合を明確にする
共有名義にする場合、購入時に持分割合を明確に決めておくことが重要です。
例えば、購入資金の出資割合に応じて持分を設定すれば、将来のトラブルを回避しやすくなります。
② 住宅ローンは単独名義で組む
住宅ローンを夫婦共有にすると、離婚時や支払い困難時の負担が増えます。
そのため、単独名義でローンを組み、配偶者は連帯保証人にならない方法を検討するとよいでしょう。
③ 共有契約を作成する
夫婦間で不動産の取り扱いについて契約書を作成しておくと、後々のトラブルを回避しやすくなります。
例えば、以下のような事項を明記しておくとよいでしょう。
- 売却の際の条件(どちらかが希望した場合にどうするか)
- 離婚時の財産分与の方法
- 住宅ローンの支払い割合
④ 相続対策を考える
将来的な相続トラブルを防ぐため、遺言書を作成しておくのが有効です。
例えば、夫婦のどちらかが亡くなった際に、残された配偶者が不動産を継続して所有できるよう、遺言書で持分を指定する方法があります。
⑤ 持分放棄や売却の選択肢を用意しておく
夫婦で不動産を共有したものの、不要になった場合には、以下の選択肢を検討しましょう。
- 一方がもう一方の持分を買い取る
- 夫婦で協力して売却する
- 賃貸として活用し、収益を分配する
4. まとめ
夫婦間で不動産を共有することには財産分与・住宅ローン・相続などのリスクがあります。
特に、離婚時や相続時にトラブルが発生しやすいため、事前の対策が不可欠です。
不動産を共有する際は、持分割合を明確にする・住宅ローンは単独名義にする・契約書を作成するなどの防止策を講じることで、トラブルを回避しやすくなります。
本記事を参考に、夫婦での不動産共有を慎重に検討してみてください。