空き家問題と相続:放置リスクを避けるための選択肢

近年、空き家問題が社会的な課題として注目されています。特に、親の家を相続したものの、住む予定がないため放置してしまうケースが増えています。しかし、空き家をそのままにしておくと、固定資産税の負担や老朽化による安全性の問題、近隣トラブルなど、さまざまなリスクが発生します。本記事では、相続した空き家を放置するリスクと、適切に対処するための選択肢について解説します。

空き家を放置するリスク

相続した空き家をそのままにしておくと、以下のような問題が発生する可能性があります。

1. 固定資産税が高額になる

空き家であっても、所有者には固定資産税の支払い義務があります。さらに、管理が不十分な空き家は「特定空き家」に指定される可能性があり、この場合、固定資産税の優遇措置が適用されず、税額が最大6倍になることもあります。

2. 老朽化による倒壊・火災のリスク

人が住まなくなった家は、劣化が早く進みます。屋根の崩壊や外壁の落下など、倒壊の危険性が高まり、災害時には周囲の建物に被害を与える可能性もあります。また、放置された空き家は不審火や放火のリスクも高まります。

3. 近隣トラブルの原因になる

長期間放置された空き家は、害虫や害獣の発生、庭の雑草が伸びることによる景観の悪化など、周囲の住民に悪影響を与えます。近隣住民から苦情が寄せられ、トラブルに発展するケースも少なくありません。

4. 不動産の価値が下がる

定期的な手入れがされていない空き家は、建物自体の価値が下がるだけでなく、周辺地域の地価にも悪影響を及ぼします。放置期間が長くなるほど、売却しづらくなるリスクも高まります。

空き家を適切に管理するための選択肢

1. 売却する

最も一般的な選択肢のひとつが、空き家を売却することです。不動産市場に出せば、相続人の負担を軽減し、資産を現金化できます。

  • メリット: 維持費や固定資産税の負担がなくなる。
  • デメリット: 買い手が見つからない場合、時間がかかる。

2. 賃貸として活用する

空き家を賃貸物件として貸し出せば、家賃収入を得ることができます。ただし、設備の修繕や管理が必要になるため、手間がかかる点には注意が必要です。

  • メリット: 継続的な収益を得られる。
  • デメリット: 入居者が見つからないリスクがある。

3. 空き家バンクを利用する

地方自治体が運営する空き家バンクに登録することで、購入希望者とマッチングできる可能性があります。地域によっては、補助金や税制優遇を受けられることもあります。

  • メリット: 売却や賃貸のハードルが下がる。
  • デメリット: 成約までに時間がかかることがある。

4. 更地にして活用する

老朽化が進んだ空き家は、解体して更地にすることで、新たな活用方法を検討できます。ただし、住宅がある場合に比べて固定資産税が高くなる点には注意が必要です。

  • メリット: 土地の売却がしやすくなる。
  • デメリット: 解体費用がかかる(100万~300万円程度)。

5. 親族間での活用を検討する

相続人の中に住みたい人がいれば、そのまま住む選択肢もあります。持ち家がない家族がいる場合、話し合いをしておくとよいでしょう。

相続した空き家を適切に処理するためのポイント

1. 不動産の市場価値を把握する

売却や賃貸を検討する場合、まずは不動産の査定を受け、市場価値を把握することが重要です。不動産会社や一括査定サイトを利用すると便利です。

2. 固定資産税や管理コストを試算する

空き家を維持する場合、どの程度のコストが発生するのか試算し、家計の負担にならないか確認しましょう。

3. 相続登記を速やかに行う

相続後、名義変更をしないまま放置すると、将来的に売却や活用が難しくなります。2024年4月からは相続登記の義務化が施行され、登記を怠ると罰則(10万円以下の過料)が科される可能性があります。

まとめ

空き家を相続した際、放置すると税金負担が増えたり、老朽化によるトラブルが発生したりする可能性があります。売却・賃貸・解体・活用など、最適な選択肢を検討し、計画的に対処することが重要です。特に、相続登記の義務化により、速やかな手続きが求められるため、早めに専門家に相談することをおすすめします。

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