親が亡くなった、あるいは施設に入居したなどの理由で、空き家となった実家を売却するケースは年々増えています。しかし、実家の売却では「隣近所との関係」が意外な落とし穴となることがあります。たとえば、内見時の出入りやリフォーム工事の騒音、駐車トラブル、境界線の誤解などが原因で、売却前後に近隣との関係が悪化することもあります。こうしたトラブルは、売却活動そのものを妨げたり、売却後に悪評として残ってしまうリスクもあります。本記事では、実家を売却する際に近隣住民とのトラブルを防ぐための具体的な対策を紹介します。
1. 近隣への挨拶は「早すぎず、遅すぎず」
売却が決まった段階、もしくは内見や工事が始まる前のタイミングで、近隣住民への挨拶を行うのが理想です。あまり早すぎると誤解や噂を呼び、遅すぎると「無断で始めた」と反感を買う可能性があります。
挨拶の際には、売却の詳細をすべて話す必要はありません。「しばらくの間、出入りが増えるかもしれません」「業者が出入りしますがご迷惑をおかけしませんよう努めます」といった丁寧な言葉を添えることで、印象が大きく変わります。
2. 境界線・敷地の確認を怠らない
実家の売却で最も多いトラブルのひとつが「境界線」をめぐる問題です。隣家との境界が曖昧なまま売却を進めると、買主との間でも新たなトラブルが発生します。売却前に必ず境界確認書を取り交わし、必要に応じて土地家屋調査士に測量を依頼しましょう。
また、塀やフェンス、樹木の位置なども確認が必要です。隣地に越境している部分があれば、事前に話し合っておくことで、売却後の揉め事を防げます。
3. 工事・清掃・撤去作業時の配慮
売却前には荷物整理やリフォーム、解体などの作業が発生することがあります。騒音や車両の出入り、ほこりの発生など、近隣に迷惑をかける要素が多いため、工事前に必ず挨拶を行い、スケジュールを簡潔に伝えておくことが大切です。
特に解体工事では、粉じんや振動が広範囲に及ぶため、近隣への事前周知と業者へのマナー徹底が不可欠です。信頼できる業者を選び、現場監督とこまめに連絡を取り合うようにしましょう。
4. 駐車・通行に関するトラブル防止
内見や工事の際、業者や購入希望者の車が隣家の前に停まるなどのトラブルが発生することがあります。近隣の通行を妨げないよう、業者や不動産会社に「駐車場所の指定」「作業時間帯の配慮」を徹底してもらうことが重要です。
もし一時的に隣家の敷地前を利用する必要がある場合は、必ず事前に許可を得るようにしましょう。こうした小さな気遣いが、トラブルを未然に防ぐカギになります。
5. 売却情報の扱いに注意する
「売却する」と知られると、近隣住民が好奇心から詮索したり、噂が広がることもあります。プライバシーを守るためには、不動産会社に「現地看板を出さない」「住所をネット掲載しない」など、情報の扱いを制限してもらう方法も有効です。
特に地方の住宅地では、噂が広まりやすいため、必要以上に情報を共有しないことが円満な関係維持につながります。
6. 不動産会社との連携でトラブルを最小限に
近隣トラブルを防ぐためには、不動産会社のサポートも重要です。販売活動の際に、業者の出入りや内見日程をきちんと管理してくれる会社を選びましょう。売主側で直接対応するよりも、専門家を通じた方がスムーズに進む場合が多いです。
また、近隣との関係性に不安がある場合は、担当者に「トラブルが起きやすい要因」を共有しておくと、適切な対応策を取ってもらえます。
7. 最後まで「感謝の気持ち」を忘れずに
実家を手放すということは、近隣住民との長い関係にも一区切りをつけるということです。引き渡し前には、これまでの感謝を伝える意味で、簡単な挨拶やお礼をしておくと印象が良くなります。特に、これまで庭の手入れや駐車スペースなどでお世話になっていた場合は、丁寧な対応を心がけましょう。
まとめ
実家の売却では、土地や建物の問題だけでなく、近隣との関係性がスムーズに進行するかどうかを大きく左右します。挨拶・境界確認・工事マナー・情報管理など、基本的な配慮を怠らないことが最大の防御策です。売却は一時の出来事ですが、地域との信頼関係は長く残るもの。誠実な対応を心がけることで、トラブルを避け、気持ちの良い形で次のステップに進むことができます。
