夫婦でマイホームを購入する際、「不動産を共有名義にするか、どちらか単独名義にするか」という点で悩むことがあるでしょう。不動産を共有名義にすることで、購入資金の負担を分けられるメリットがある一方で、離婚・相続時にトラブルになる可能性もあります。本記事では、夫婦で不動産を共有する際のリスクと、その対策について詳しく解説します。
1. 夫婦で不動産を共有するとは?
夫婦で不動産を共有するとは、夫婦それぞれが持分を持ち、共同で所有することを指します。一般的に、以下のようなケースで共有名義が選択されます。
- 夫婦で住宅ローンを組む(ペアローン・連帯債務)
- 夫婦それぞれが資金を出し合って購入する
- 贈与税を回避するために持分を設定する
共有名義にする場合は、持分割合を適切に決めることが重要です。例えば、夫が60%、妻が40%の割合で出資した場合、その比率に応じて登記を行うことになります。
2. 夫婦で不動産を共有する際のリスク
① 離婚時にトラブルが発生する可能性
共有名義の最大のリスクは、離婚時に持分の処理が難しくなることです。不動産は現金のように簡単に分割できないため、以下のような問題が生じる可能性があります。
- 一方が住み続けたい場合、もう一方の持分を買い取る必要がある
- 売却する場合、双方の合意が必要になる
- ローンが残っている場合、どちらが負担するかで揉める
特に、住宅ローンの名義と不動産の名義が一致していない場合、負担の分配が複雑になります。
② 相続時の問題が発生しやすい
夫婦のどちらかが亡くなった場合、相続人が増えることでトラブルが発生しやすくなります。例えば、夫婦共有の不動産を相続する際、子どもや親族が相続人として関与することになり、以下のような問題が起こることがあります。
- 相続人が増えて持分が細分化され、売却しにくくなる
- 相続税の計算が複雑になる
- 相続人の間で売却や活用方法について意見が対立する
③ 不動産の売却や活用が難しくなる
不動産を売却する際、所有者全員の同意が必要になります。もし夫婦のどちらかが売却を希望しても、もう一方が反対すると売ることができません。また、賃貸に出す場合も同様に、共有者の合意が求められます。
3. 夫婦で不動産を共有する際の対策
① 持分割合を適正に設定する
共有名義にする場合、実際の負担額に応じた持分割合を明確に決めることが重要です。適正な持分割合を設定しないと、贈与税の対象になる可能性があります。
持分割合の設定例:
- 夫が1,500万円、妻が1,000万円を出資 → 夫60%、妻40%の持分
- 夫婦で半分ずつ支払う → 夫50%、妻50%の持分
② 住宅ローンの契約方法を工夫する
夫婦で住宅ローンを組む場合、以下の3つの方法があります。それぞれの特徴を理解し、適切な方法を選びましょう。
- 単独ローン: どちらか一方の名義で借りる(シンプルだが、片方の収入に依存)
- ペアローン: 夫婦それぞれがローンを組み、支払いを分担(双方に審査が必要)
- 連帯債務: どちらかが主債務者となり、もう一方が連帯債務者となる(収入合算が可能)
③ 事前に「共有名義の解消方法」を決めておく
将来的なトラブルを避けるために、あらかじめ共有名義を解消する方法を決めておくのも有効です。例えば、以下のような方法があります。
- 離婚時にはどちらかが持分を買い取る
- 売却する場合は事前に条件を決めておく
- 生前贈与や遺言を活用し、相続トラブルを防ぐ
④ 遺言や生前贈与を活用する
相続時のトラブルを防ぐためには、遺言書を作成しておくのが効果的です。特に、夫婦のどちらかに子どもがいる場合や、共有名義の不動産がある場合は、遺言書で不動産の引き継ぎ方法を明確にしておくと安心です。
4. まとめ
夫婦で不動産を共有すると、資金を分担できるメリットがある一方で、離婚・相続・売却時のトラブルが発生しやすくなります。これらのリスクを避けるためには、以下の対策を講じることが重要です。
- 持分割合を適正に設定し、トラブルを防ぐ
- 住宅ローンの契約方法を慎重に選ぶ
- 事前に共有名義の解消方法を決めておく
- 遺言書や生前贈与を活用し、相続時の問題を回避する
不動産は大きな資産だからこそ、夫婦でしっかり話し合い、リスクを考慮した上で最適な方法を選択することが大切です。本記事を参考に、安心して不動産を共有できる方法を検討してください。