相続した家を売却すると、譲渡所得税や住民税などの税金が発生することがあります。特に不動産は金額が大きいため、「どれくらい税金がかかるのか」「節税する方法はあるのか」と不安に思う人も多いでしょう。実は、相続不動産を売る際には使える特例がいくつもあり、正しく活用することで税負担を大きく抑えることができます。この記事では、相続した家を売却するときにかかる税金の仕組みと、節約するための実践的なコツをわかりやすく解説します。
1. 相続不動産を売却すると発生する税金とは?
相続した家を売却した場合、主に次の税金がかかります。
- 譲渡所得税(所得税+住民税)
- 復興特別所得税
これらは「売却益(譲渡所得)」に対して課税されます。つまり、売却額すべてに税金がかかるわけではなく、計算式は以下の通りです。
【譲渡所得の計算式】
譲渡所得 = 売却額 −(取得費 + 譲渡費用)
取得費が小さいと税額が増えるため、取得費を正しく計算することが節税の第一歩になります。
2. 節税の鍵① 「取得費」を正しく計算する
相続した家の多くは、親や祖父母が何十年も前に買ったもので、購入価格がわからないケースが多く見られます。取得費が不明だと、原則として「売却額の5%」しか認められません。
取得費が小さすぎると譲渡所得が増え、税金も大幅に増えてしまいます。
【節税のコツ】
- 購入時の契約書や領収書を探す
- リフォーム費用を取得費に加える
- 固定資産税評価額と比較し、特例の利用を検討する
少しでも取得費を大きくできれば、その分税額も下がります。
3. 節税の鍵② 「相続税の取得費加算の特例」を活用
相続した家を相続税申告後3年以内に売却するとき、支払った相続税の一部を取得費に加算できる特例があります。これが非常に強力で、多くのケースで節税に役立ちます。
【ポイント】
- 相続税を支払っている必要がある
- 相続税申告期限の翌日から3年以内の売却が条件
- 加算額が大きいほど譲渡所得が減る
例:
相続税として300万円支払っていた場合、その一部を取得費に含められるため、課税される利益を大幅に圧縮できます。
4. 節税の鍵③ 「空き家の3,000万円特別控除」を利用する
被相続人が一人暮らしだった家を売却する場合、条件を満たせば譲渡所得から3,000万円を控除できる特例があります。
【適用の主な条件】
- 被相続人が一人で住んでいた家である
- 相続後3年以内の売却である
- 耐震基準を満たす、または取り壊して土地として売却
- 相続人が住んでいないこと
3,000万円控除は非常に大きく、ほとんど税金がかからなくなるケースもあります。
5. 節税の鍵④ 売却費用を漏れなく計上する
売却にかかった費用(譲渡費用)も節税につながります。次のような費用はすべて控除可能です。
- 仲介手数料
- 測量費
- 解体費
- 不動産会社への広告費
- 司法書士・税理士への報酬
漏れなく計上することで、譲渡所得を抑えられます。
6. 節税の鍵⑤ 複数の特例は併用できるか確認
特例には併用できるものとできないものがあります。
- 相続税の取得費加算の特例 → 3,000万円控除と併用可
- 居住用の3,000万円特別控除 → 他の特例と併用不可の場合が多い
条件や組み合わせを間違えると節税効果が半減してしまうため、事前に確認することが大切です。
7. 節税の鍵⑥ 売却のタイミングも重要
特例には期限があるため、売却時期を誤ると特例が使えなくなってしまいます。
- 相続税の取得費加算 → 相続税申告期限の翌日から3年以内
- 空き家の3,000万円控除 → 相続発生から3年以内
少しタイミングがズレただけで税額が大きく変わるため、売却スケジュールは慎重に管理しましょう。
8. まとめ:特例をフル活用して税負担を最小限に
相続した家を売却する際にかかる税金は、知識があるかどうかで大きく変わります。取得費加算の特例や空き家の3,000万円特別控除をはじめとする制度を活用すれば、税金の負担を大幅に抑えることができます。また、取得費の計算や売却費用の整理など、細かな点を丁寧に行うことも節税につながります。必要に応じて税理士に相談しながら、最適な方法で相続不動産の売却を進めていきましょう。
