親の死後に実家を相続したものの、長年放置していた結果、いつの間にか「ゴミ屋敷」と化していた――そんなケースが全国で増えています。積み上がったゴミや不用品は悪臭や害虫を発生させ、近隣住民とのトラブルや行政からの指導につながることもあります。さらに、放置を続けると「特定空家」に指定され、固定資産税が増額されるなど、経済的な損害を被るリスクも。ここでは、相続した空き家がゴミ屋敷化してしまった際の具体的な対処法と、知っておくべき法的リスクについて詳しく解説します。
1. まずは現状を正確に把握する
相続した空き家がどの程度ゴミ屋敷化しているのかを客観的に把握することが第一歩です。室内外の写真を撮影し、ゴミの量・腐敗の有無・建物の損傷具合などを確認します。放置期間が長い場合、床下や屋根裏にカビ・害虫・小動物が発生しているケースもあるため、無理をせず防護服やマスクを着用して確認しましょう。
自分で対応が難しい場合は、清掃業者や不動産会社に現地確認を依頼し、見積もりを取ることをおすすめします。状態を正確に把握しておくことで、後の行政対応や売却判断にも役立ちます。
2. ゴミの処分は専門業者に依頼する
大量のゴミを自力で処分するのは危険です。中には腐敗物や危険物が含まれている場合もあり、一般の家庭ゴミとして処分できないこともあります。地域の許可を得た産業廃棄物処理業者や遺品整理業者に依頼するのが安全です。
費用の目安は1LDK程度で10〜20万円、2階建て一軒家で30〜100万円程度が一般的ですが、ゴミの量や搬出条件によって変動します。複数業者に見積もりを取り、追加費用の発生条件を必ず確認しましょう。
3. 行政からの指導・罰則に注意
放置されたゴミ屋敷は「生活環境保全上の支障」を理由に、市区町村から指導・勧告を受けることがあります。特に悪臭や害虫被害が発生している場合、近隣住民からの通報で行政が介入するケースも珍しくありません。
また、空家対策特別措置法により、放置された空き家が「特定空家等」と認定されると、固定資産税の優遇(1/6軽減)が解除され、税額が最大6倍になることもあります。さらに、改善命令に従わない場合は行政代執行により強制撤去され、費用を請求されることもあります。
4. 相続人全員で責任を共有する
相続した空き家の管理責任は、相続人全員にあります。たとえ自分が現地に住んでいなくても、共有者として放置責任を問われる可能性があります。兄弟姉妹など複数人で相続している場合は、役割分担を明確にし、処分方針を話し合っておくことが大切です。
意見が分かれる場合には、司法書士や弁護士を交えて「遺産分割協議書」を作成し、売却・管理・処分の責任を明確にすることがトラブル防止につながります。
5. 早期の売却・活用を検討する
清掃後の建物をそのまま放置しておくと、再び荒廃が進む恐れがあります。今後住む予定がない場合は、売却や賃貸、解体・土地活用を早めに検討しましょう。ゴミ屋敷だった物件でも、クリーニングや軽度のリフォームを行うことで売却可能なケースは多くあります。
不動産会社に「買取」を依頼すれば、現状のままでも早期に現金化できることもあり、維持費や税負担を減らす有効な選択肢となります。
6. 放置が続くと「所有者責任」を問われる
空き家を放置したままにしておくと、倒壊や火災、害虫被害などによって第三者に損害を与えるリスクがあります。この場合、民法第717条(工作物責任)に基づき、所有者や管理者が損害賠償責任を負うことになります。
たとえば、崩れた屋根瓦が隣家の車を傷つけた、放置ゴミが原因で火災が起きたといったケースでは、被害者から損害賠償請求を受ける可能性があります。空き家の管理は「義務」であるという意識を持つことが大切です。
まとめ
相続した空き家がゴミ屋敷化してしまった場合、放置は最悪の選択です。早期に現状を把握し、専門業者に依頼して清掃を行いましょう。行政からの指導や税負担、近隣トラブルなどの法的リスクを避けるためには、相続人同士の連携と計画的な管理が不可欠です。売却や活用を視野に入れ、早めの対処を行うことで、経済的にも心理的にも負担を最小限に抑えることができます。
